アメリカが日本に課していた関税を実質15%に引き下げると発表されたものの、その“恩恵”はすべて企業や政府の都合で消費者に恩恵なし。「関税下げイコール庶民の節約」ではないかもしれません。本記事では、“ウラの顔”に隠れた経済構造のモヤモヤを丁寧に読み解きます。
「関税削減」は本当に勝利? 実は値下げより“価格維持”にこだわるセクターも
日米間で合意した関税引き下げにより、日本車や医薬品などの輸入品に対する関税が15%に引き下げられることとなりましたが、メーカー各社は「コスト削減より価格維持を好む戦略を採る可能性」も指摘されています。つまり、見かけ上の交渉成功が“消費者の減税”にはつながらないケースも。
給料アップでも家計は苦しい…
一方、7月の実質賃金は7カ月ぶりにプラスに転じ、0.5%増となりました。しかし家計支出の伸びは鈍く、消費回復にはまだ遠い現状。関税効果が“消費行動の後押し”になるかどうかは疑問が残る状況です。
為替・市場は敏感に反応。だがインフレリスクには無頓着?
米国の関税減少により日本経済には一部安心感が広がる可能性がありますが、インフレ圧力やコスト転嫁のリスクには触れられていません。特に医薬・資源セクターでは、価格据え置き策が取られ、それが消費者負担として跳ね返る懸念があります。
今、注目すべきポイント
- 関税差引後にも、商品の「値下げ」発表があるかどうか。
- 実質賃金回復が「生活実感になるか」、物価動向との兼ね合い。
- 政府の追加支援策(補助金や軽減措置)の有無。
見出しに踊らされるな。背後にある“本質”を見極めよ
「関税下がりました!」と喜ぶ前に、それぞれの企業や業種がどう対応するかに着目するべきです。名目上の改善が、消費者の暮らしに直結するかどうかはまだ白紙です。数字の裏に潜む真実の顔を、冷静に見極めましょう。