引用元: Japan Travel:税免除制度の見直しを検討中/JNTO
引用元: “免税制度”の転売悪用、制度改革の議論に拍車/JNTO
最近、外国人旅行者が日本の免税(Tax-Free)制度を使って大量の商品を仕入れ、それを母国で高値で転売するケースが増えていると指摘されています。
この“制度の抜け穴”に対し、消費税制度の公平性を訴える声や、「日本人の財布が死ぬ」という不満も広がりつつあります。政府は2026年から制度改正を検討しており、今後の議論が注目されます。
免税制度の仕組みと悪用の実態
現在、日本の免税制度では、訪日外国人が一定金額以上の商品を購入する際に、購入時点で消費税(10%)を差し引くことができます。購買店でパスポートを提示すれば即税抜きの価格で買える点が利便性と魅力でした。
しかし、この制度は「日本国内で使われない」「再販目的」での大量購入という趣旨外利用を黙認する形になっており、実際に転売業者が空港での輸出審査をくぐって商品を国外に持ち出し、現地で高値で売るケースが散見されます。こうした行為は、市場価格をゆがめ、地元小売店や正規購入者に不利益を与えるとの批判があります。
制度改革案では、購入時点で消費税を含む価格を支払わせ、出国時に税の還付手続きをする「後払い型」に変更する案が検討されています。
転売横行がもたらす影響と国民感情
この制度の悪用が広がると、次のような影響が懸念されます:
- 国内価格の歪み:免税価格で仕入れた商品が再販されると、通常価格の商品が売れにくくなる
- 地方・中小店への打撃:免税転売と価格競争を強いられ、地元商店が淘汰されるリスク
- 税収減:本来徴収すべき消費税が回収できないケースが増えると、国や自治体の財源へも悪影響
- 不公平感の増大:納税者である日本人から見れば、外国人だけが得をしていると感じられやすく、反感の温床になる可能性
制度改革をめぐる議論と政府の対応案
政府はこのような問題を受け、免税制度の見直しを進めています。主な検討候補は以下の通りです:
- 購入時に消費税を含んだ価格を支払い、出国時に還付するシステムへの移行(後払い型方式)
- 免税対象商品・金額の制限強化、再販禁止条項の明文化
- 転売行為の監視強化、国外転売と判断された商品の輸出差し止め措置
- 審査強化や免税適用店舗の登録厳格化による制度の信頼性向上
こうした改正が実施されれば、免税ショッピングの魅力は落ちるかもしれませんが、制度の公平性と日本人消費者への配慮が強まるという意見もあります。反面、観光業や小売業界からは、「免税制度は訪日客誘致の重要なインセンティブであり、急激な改変は落胆を招く」という懸念も根強くあります。
免税制度のあり方は、「旅行誘致」「消費促進」と「納税公平性」「国内市場保護」のせめぎ合い。
この制度の見直しが決まれば、観光立国としての日本の魅力と、国内消費者の公平感とのバランスをどう取るかが問われる転換点になるでしょう。