2025-11-05(水)
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日銀“また利上げ”?景況感回復でも物価高の波が消えない恐怖

日銀“また利上げ”?景況感回復でも物価高の波が消えない恐怖
画像:イメージ

引用元: 日銀、四半期で利上げの可能性多数派と調査/Reuters
引用元: 製造業景況感、対米関税合意後3年ぶり高水準/Reuters
引用元: 日本、2026年に洋上風力のテストセンター開設検討/Reuters

最新の経済指標では、製造業の景況感が3年ぶりの高水準を記録し、対米関税の緩和が追い風となっているようです。しかしこの明るい見通しの裏では、物価の上昇圧力やエネルギーコスト、そして利上げの影がじわりと迫っています。本記事では、「景気回復」の表向きのムードと、その先で待つかもしれない試練を読み解きます。

製造業の“浮かれムード”は本物か?実態とのギャップ

Reutersの「Tankan調査」によると、製造業の景況感指数は9月で「+13」となり、8月の「+9」から改善。輸送機械、自動車産業などで受注の戻りが見られており、対米関税の引き下げが安心感を生んでいます。
ただし、非製造業の分野や国内消費にはまだ鈍さがあり、原材料費・賃金・輸送コストの上昇が収益を圧迫しているとの声も。景気回復という言葉が踊っても、すべての産業がその恩恵を受けているわけではありません。

日銀、第四四半期で利上げの公算大—でも慎重論もくすぶる

複数のエコノミストの調査によれば、日銀は10〜12月期に主要金利を25ベーシスポイント以上引き上げることを見込んでいます。
この背景には円安進行や資産バブルの懸念、さらにはインフレ加速の可能性があります。しかし、「物価が持続的に上がるかどうか」「消費者の購買力が耐えられるか」といった点で疑問視する声も根強く、利上げが逆に景気を冷やすリスクも無視できません。

再生可能エネルギーの希望――ただしコストと技術の壁あり

日本は洋上風力(特に浮体式)開発を強化しており、2026年に浮体式風力のテストセンターを国内に設ける計画が動き始めています。
ただし、洋上風力プロジェクトには技術的・環境的な障壁が多く、コストが膨らみやすい。過去には三菱などが洋上風力大型発電プロジェクトからの撤退を検討するなど、期待と現実の落差が問題となっています。

見逃せないポイント一覧

  • 日銀が利上げを実行に移すかどうか、会合時の発言に注目。
  • 輸出企業の受注が本格的に伸びるか・また内需の復調が伴うか。
  • 再エネ政策が投資先として魅力を維持できるか、補助金や制度の整備が追いつくか。
  • 消費者物価と生活コストのバランス:高物価の中で暮らしがどうなるか。

期待と不安の狭間で、日本経済の転換点に立つ

製造業の景況感回復や政策の明るい光は確かに希望を感じさせます。しかし、その光が長く続くかどうかは、物価・金利・エネルギー政策など多くの“不透明要因”に左右されるでしょう。「景気がいい」と言われても、それが生活実感として伝わるかどうか――この秋・冬が日本経済の本当の試金石になりそうです。

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